柳の下に猫は2匹いない

戦前日本映画史ネタの覚え書き

2019-01-01から1年間の記事一覧

鈴木傳明と田中絹代は不仲だったのか

田中絹代が女優としての名声を高めはじめたのは1927年、『真珠夫人』(池田義信監督)に栗島すみ子の娘役で助演してからだ。松竹の大幹部であり大スターの栗島と共演することは当時の女優の目標になっていた。それまでの絹代はお世辞にも美人とはいえない容…

光喜三子に関するあれこれ

平凡社が1929年から全10巻で出版した『映画スター全集』の第6巻に高田稔の特集がある。その中に掲載されている当時4歳(撮影時)の長女は前妻との子供であり、再婚した光喜三子との子供はいないと思われる。高田は帝国キネマから東亜キネマへ移籍した頃(192…

映画『虞美人草』(1941)と『三四郎』

夏目漱石原作の『虞美人草』は過去2度映画化されている。最初の映画化作品となる溝口健二版(1935)を見た記憶はあるのだが、内容は完全に忘れてしまった。概要を確認してみると主人公を宗近に、ヒロインを小夜子に据えたものに変更しているらしい。現存する…